いばらきの公共事業(歴史をたどる)

いばらきの公共事業 県土木部総括技監・部長編①

2024.01.13

いばらきの公共事業(歴史をたどる)

茨城県の魅力を向上させる公園整備について

渡邊 一夫 氏
元県土木部長

藤田 幹雄 氏
元土木部技監兼検査指導課長(当時・県土木部公園街路課長)

天下の偕楽園、世界一に整備

 明けましておめでとうございます。皆様にとりまして良い年でありますようお祈り申し上げます。年の初めに、まず公園整備のお話をしたいと思います。まちづくりになくてはならないのが公園です。公園は、広域公園、総合公園、地区公園、運動公園など、大きさや目的によってたくさんの種類に分けられます。公園が整備されることにより、地域はもちろん、茨城県の魅力が大幅に向上するのです。

 茨城県は、積極的に公園整備を進めてきたと思います。私が県職員に採用された昭和46年当時、天下の名園「偕楽園」、「弘道館」はもちろんのこと、「堀原運動公園」、「大洗公園」がすでに開園しておりました。さらに、昭和49年の茨城国体に向けて「笠松運動公園」の整備が急ピッチで進められておりました。
 その後、昭和55年に鹿島港を一望できる52mの展望塔がある「港公園」が、翌年には研究学園都市にふさわしい「洞峰公園」が続けて開園されました。この頃、砂沼の地形や自然を生かした「砂沼広域公園」も開園となりました。当時、私は石下土木事務所におり、アクセス道路の整備を含め、この公園に関わっておりました。プールがあったので、夏には子どもを連れて利用させてもらっていました。
 平成に入り、平成4年に「県西総合公園」が整備されました。豊かな水と緑に包まれ、四季を通じて広大な空間を利用し、自然とのふれあいを楽しむことができます。サッカー、ラグビー、野球ができる多目的運動公園も併設されております。隣接する筑西幹線道路の整備に伴い、より利用しやすい公園となるでしょう。
 また、同年には「笠間芸術の森公園」も開園となりました。伝統工芸と新しい造形美術をテーマとした公園です。陶芸美術館のほか、陶炎祭が行われるイベント広場や陶の杜などがあります。私が水戸土木事務所長の時、設計・施工一括発注方式により事業者を決定して整備したあそびの杜などもあります。
 平成6年には、奥久慈地区の豊かな自然環境や温泉資源を活かし、県北地区のスポーツレクリエーションの拠点として「大子広域公園」が整備されました。温泉プール「フォレスパ大子」やオートキャンプ場「グリンヴィラ」などの施設があります。私は道路建設課の立場で、関連道路の整備に関わっておりました。国道118号袋田バイパスの供用により、なお一層魅力的な公園になると思います。
 「鹿島灘海浜公園」が暫定開園となったのは、平成12年です。鹿島灘スポーツリゾート基地として整備が進められております。ボードウォーク、ピクニック広場、展望デッキがあり、休憩棟では地元の野菜やハマグリの販売なども行われています。私は土木部長の時、議会答弁しており、特別な思いがある公園です。東関道の整備が進められており、近々全線供用されます。首都圏からのお客様がなお一層増えることが期待されます。
 昭和46年当時、「偕楽園」は本園のみの供用であり、拡張部の用地買収を行っておりました。あたり一面湿田だったことを覚えております。その湿田が立派に整備され、今ではセントラルパークに次ぐ広さを持つ都市公園になっております。どうしたら世界一になれるか検討などもしたのです。水戸土木事務所長時代には、特に本園の修景に気をつかって整備を進めました。梅の古木の手入れは、3年間程度は同じ手で行ったほうが良いのではという意見があり、試行的にそのような発注を行ったりもしました。
 歴史館とより連携できるよう、県道水戸岩間線の下に、人道のボックスカルバート隧道を設置しました。交通止めをしないで、切り回しをしながら苦労して整備したのが思い出されます。沢渡川からの水対策なども実施しました。天下の偕楽園を、より素晴らしい公園にしようと頑張った2年間でした。
 茨城県では、一生懸命に公園整備を進めてきたと思います。茨城県の魅力づくりになくてはならない整備だったと思っております。
 造園業の皆様はじめ、関係された方々の技術力とご苦労があったからこそ、たくさんのすばらしい公園ができたのだと思います。深く感謝いたします。

藤田 幹雄(ふじた みきお)
1957年12月28日生まれ。66歳。入庁時期は80年、道路維持課に配属。その後は、企画部沿線整備調整室長、公園街路課長などを経て、2018年3月に技監兼検査指導課長で定年を迎えた。現在はコスモ工機㈱に勤めている。

鹿島灘海浜公園 観光地へ一層飛躍

 私は平成27年度から28年度までの2年間、公園街路課長を務めました。公園街路課への配属は、この時4度目。それまでの経験を活かしながら、公園整備に力を尽くしていました。
 県内の都市公園は、管理者の違いにより国営公園(ひたち海浜公園)、県営公園(偕楽園外20公園)、市町村管理公園に区分することができます。それぞれ設置目的、規模、施設内容、利用者層は様々です。
 工事担当者の立場からすると、公園の整備は一般的な公園施設(遊具等)工事のほか、土工事、道路工事、建築工事、水道工事、下水道工事、電気工事、植栽工事など、多岐にわたる工種を経験できるチャンスだと思います。私もたくさんの公園整備に携わりましたが、特に力を入れていた公園があります。
 まずは大子広域公園。平成4年度、私は当時の大子土木事務所に赴任し、造成工事が完了した大子広域公園の工事担当となりました。当初は多目的運動広場、テニスコートなどの施設整備を進め、平成6年6月に一部開園を迎えました。加えて、斜面利用型アスレチックの設計・工事を担当しつつ、フォレスパ大子の具体化やオートキャンプ場の構想について、本庁と協議していたのもこの時期です。
 平成8年度には、定期異動に伴い公園街路課へ。大子広域公園の担当となり、建築工事を担当する営繕課と連携のもとフォレスパ大子の整備に努め、平成10年7月にオープンを迎えました。オートキャンプ場には構想当初から携わっていたため、日本オートキャンプ協会主催の研修に参加したり、親子4人で北は北海道から南は四国まで、オートキャンプ場巡りをしたことは、今でも良い思い出です。
 オートキャンプ協会の職員からは、セキュリティとランニングコストの観点からお風呂は設置するべきではないとアドバイスされていましたが、水辺空間の無い立地においては温泉の活用がキャンプ場の売りになるのでは、と主張した記憶があります。実際には、想像以上の立派な温泉施設が完成し、多くのお客様から好評を博しているようで、嬉しい限りです。
 オートキャンプ場『グリンヴィラ』は平成14年のオープン以来、充実した設備と徹底したホスピタリティで日本オートキャンプ協会から最高ランクの五つ星に認定され、予約困難なキャンプ場として名を馳せています。
 平成8年頃、公園街路課で鹿島灘海浜公園も担当しました。鹿島灘スポーツ・リゾート基地構想の中核基地として位置づけられている、計画面積76・2 haの広域公園です。当初は大規模リゾート施設として計画されました。現在までに20・6 haが開園し、海浜部にはボードウォーク、台地部には休憩棟や売店・レストラン、広場が設置されています。
 当時は民有地の用地買収が滞り、細々と海浜部(国有地)の整備を進めていましたが、その後は台地部の用地取得の進展とともに、地元である鉾田市との連携協力のもと、施設整備・運営が本格化。今では地域に根ざした公園として、賑わいを見せています。携わった多くの方々の、長年の労苦が実を結んだ現在の姿に、継続の力を感じずにはいられません。
 国道51号に隣接し、すぐそばには大竹海岸があるこの立地は、観光地として飛躍する可能性を大いに秘めていると思います。こうしたポテンシャルそのものが、この公園にとっての財産であるように思います。道の駅なども視野に入れ、今後も整備が進むことに期待したいと思います。
 また、茨城の名園である偕楽園についてですが、この公園は斉昭公以来の本園と、常磐線南側の湿田を造成した拡張部に区分けされます。拡張部には、平成8年度に偕楽園公園センターが完成し、本園では、平成26年度に見晴亭がオープンしました。電線の地中埋設でさえ簡単ではないことを知る立場として、当時担当された方の苦労が偲ばれます。
 水戸市では、レイクサイドボウル跡地に駐車場を整備しており、駐車場跡地にはPark-PFIを活用したカフェ・レストランなどを計画しています。これらの新しい施設との連携を強化し、その魅力を広く世界に発信して、偕楽園が観光拠点としてさらに発展することを期待しています。
 公園の整備に完成形はありません。常に将来を見据え、変化していくものです。時代のニーズに対してアンテナを高くし、多様な意見を取り入れつつ、整備を進めることが大切だと思います。(島津就子)

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