茨城の歴史点描 時代の変革者・徳川斉昭①
2021.04.16
茨城の歴史点描
茨城県立歴史館史料学芸部 特任研究員 永井 博
斉昭といえば、大河ドラマ「青天を衝け」で竹中直人さんの怪演?が話題になっています。攘夷を激しく叫んだかと思えば、側近藤田東湖の死に慟哭したり、と感情の起伏が激しい人物に描かれています。
死後に贈られた諡(おくりな)が「烈公」というのも納得ですが、これは「英烈(優れた勲)」から採られたもので、本来「国や主君に対して尽くした功績」を意味するものです。
ドラマでは、主としてペリー来航以降の「攘夷の巨魁」としてふるまう斉昭が描かれていますが、私は斉昭の真骨頂は、むしろ藩主時代にあると考えています。
その豊かな学識とマルチな才能に基づいた構想力、改革推進力は、江戸時代の他の大名たちを寄せつけない優れたもので、「時代の変革者」と言っても過言ではないでしょう。
本コラム「茨城の歴史点描」では、県内の歴史にちなむ話題をご紹介していく予定です。まずは、変革者としての第九代水戸藩主徳川斉昭の凄さについて紹介していきたい、と思いますので、よろしくお付き合い下さい。
(茨城県立歴史館特任研究員 永井博)
【プロフィール】
永井 博 茨城県立歴史館 特任研究員
1958年生まれ。 國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程前期修了(日本近世史専攻)
現:東京都江戸東京博物館資料収蔵委員会委員(文書・典籍評価部会)、石岡市総合計画審議会委員、水戸市文化財保護審議会委員、牛久市文化財保護審議会委員、阿見町文化財保護審議会委員、阿見町予科練平和記念館運営協議会副委員長など
著書:『徳川斉昭―不確実な時代を生きて―(単著)』(山川出版社)
『古写真で見る幕末維新と徳川一族(単著)』(角川新書)
『参勤交代と大名行列(単著)』(洋泉社)
『徳川歴史大図鑑(共著)』(洋泉社)
『大名庭園(共著)』(平凡社)など多数。
『高等学校 日本史B(教科書・共著)』(清水書院)など多数。
●主なテレビ出演等:
・NHK総合『知恵泉』「心をつかむ手紙術 ~戦国武将編~」2014.7.1
・NHK『歴史秘話ヒストリア』「銃声とともに 桜は散った~「桜田門外の変」の謎~」2015.3.4
・NHKEテレ『知恵泉』「ライフワークを成し遂げるには? 水戸黄門・人生のプロ(前編)」2016.4.5
・BS日テレ『片岡愛之助の解明!歴史捜査』「知られざる江戸の闇と闘った 徳川吉宗と大岡越前の真実を追え!」2016.6.9
・NHKBSプレミアム『英雄たちの選択』「幕末秘録・京都に外国軍侵攻!?徳川慶喜 破滅回避への決断」2016.9.15
・BS12『せいこうの歴史再考』2017.1.2
・NHK『歴史秘話ヒストリア』「戦国ラストサムライ水野勝成」2018.7.18(企画提案)
・NHK『日本人のおなまえっ』「偕楽園」2019.8.29
・NHKBSプレミアム『英雄たちの選択』「烈公・徳川斉昭―幕末動乱への導火線―』2021.3.10(制作協力)
・NHKBSプレミアム『英雄たちの選択』「将軍に託された未来―徳川慶喜が夢見た‘もう一つの幕末‘」2021.4.21(予定)
・NHK大河ドラマ「青天を衝け」資料提供(時代考証)2020.4~