コラム「四季の風」

気分だけ旅行

2021.07.06

コラム「四季の風」

◆俳優の鈴木亮平氏の著作『行った気になる世界遺産』を読んでみたいと思っている。実際には行ったことのない世界遺産に、想像の中で行った気分になるという新しい形の旅行記だ。感染症が蔓延る今だからこそ、想像の中だけの旅行を全力で楽しもうとする姿勢は、ぜひ見習いたい。

◆さっそく岡山県に行こうと思い立った。岡山城に行きたい。倉敷の町も歩きたい。ここ数年ずっと願っていたことだ。東京で特急から新幹線に乗り換えて、約3時間。改札を抜け、東口からのびる桃太郎大通りをまっすぐ行く。晴れの国・岡山らしく、雲一つない梅雨晴れだ。

◆レトロな都電や、幅の広い水堀、城を守る石垣を横目に足を進める。大手門をくぐれば、青空を背景に、太陽の白い光を浴びて輝く岡山城の姿がある。ようやく念願叶っての入城の時だ。

◆と、気分だけでも行った気になるのは案外楽しいかもしれない。グーグルマップで街並みを見ていると、実際に訪れる時の予習のようにも思えてわくわくする。現在、岡山城は大規模改修のため臨時休業中らしい。リニューアルオープン後の内装をあれこれ想像しながら、現地の風を感じられるその日を心待ちにしたい。(S)

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