コラム「四季の風」

日本文化を支えた主役

2023.07.05

コラム「四季の風」

◆2025年の大河ドラマの題材が発表された。主人公は江戸時代中期、書籍の編集や出版業を営んだ人物・蔦屋重三郎。戦国時代や幕末を扱う作品が多い大河ドラマで、江戸中期の人物を描くのはかなり珍しいのではないだろうか。日本のポップカルチャーの礎を築いた人物がどのように描かれるのか。とても興味深い。

◆蔦屋重三郎は、喜多川歌麿、山東京伝、葛飾北斎、十返舎一九など著名人の才能を見出した人物だ。現在放送中の朝ドラ『らんまん』のヒロインも愛読するヒット作『南総里見八犬伝』の著者・曲亭馬琴なども、彼の世話になったという。主人公の幅広い交友関係も見どころになりそうだ。

◆脚本は、大河ドラマ『おんな城主直虎』や、男女逆転の世を描いた人気時代劇『大奥』を手がける森下佳子氏。森下氏は、戦がなくなった時代だからこその世のうねりや、政治の世界に面白さがあるとコメントしている。幕政改革による抑圧も描かれることになるだろうが、重三郎はどのように抗うのだろうか。気は早いが、エンタメ大河ドラマの放送を今から楽しみに待ちたい。(S)

お問い合わせCONTACT

電子版ログイン

書籍申込