梅まつり、始まりの日
2023.02.07
コラム「四季の風」
◆今週11日から、第127回水戸の梅まつりが始まる。新型コロナウイルス感染症拡大などの影響もあり、通常開催は4年ぶりとのこと。地元の行事でまちに活気が戻るのは有難いことだ。
◆水戸の梅まつりが初めて開催されたのは明治時代。1896年、水戸と上野を結ぶ鉄道が開通し、梅の花を楽しむための列車が走ったのが始まりだった。文明が華やかに発展していた時代、その象徴たる鉄道と、美しい梅の花を同時に楽しむ祭りを開催するというのは、なんとも粋な発想である。
◆そもそも偕楽園は、1842年に第9代水戸藩主・徳川斉昭公によって造られた公園だ。開園からわずか50年ほど後、激動の幕末を生きた烈公の面影を残す水戸のまちで、人々は梅を愛で、和やかな時を過ごした。世相も文化も目まぐるしく移ろう時代を生きた人々にとって、その時間はかけがえのないものとなっただろう。
◆早咲きの梅は、すでにほころび始めている。そばを通りがかると、かすかに清々しい花の香りが漂ってきた。青天のもとで咲く小さな花の香に、背筋が伸びる。水戸のまちが賑わう日は、もうすぐそこだ。(S)