コラム「四季の風」

犬吠埼の灯し火

2022.11.15

コラム「四季の風」

◆茨城県南の県境から車を走らせ銚子大橋を渡り、およそ20分ほどでたどり着く銚子半島の東端に、犬吠埼灯台は立っている。三方を碧海に囲まれた断崖絶壁にあって、149年前から雄大な太平洋を見守ってきた。11月15日は、犬吠埼灯台が完成した日だ。

◆銚子は古くから漁業と水運で栄えた地であったが、犬吠埼付近では多くの水難事故が起きていた。また幕末期の日本では、開国後も航路標識の整備が進まなかったこともあり、海を渡って来日する西欧諸国は日本各地で灯台建設を進めるための条約を取り付ける。

◆犬吠埼灯台の建設が始まったのは1872年。工部省はイギリスから土木技術者・リチャード・ヘンリー・ブラントンを招き、彼に設計、施工監督を任せる。2年後には、高さ約32m、白色塔型の煉瓦造灯台がそびえ立った。149年前の今日、犬吠埼に初めて灯がともったのだ。

◆犬吠埼灯台は、約36㎞先までも届く光で海上をゆく人々を守り、またその光は、灯台を大切に思う多くの人々の手で守られてきた。歴史が繋いできた光が、これからも末永く灯り続けることを願う。(S)

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