コラム「四季の風」

良い国から良い箱に?

2022.07.05

コラム「四季の風」

◆大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、ついに源頼朝が命を落とした。周囲の謀反を疑い、身内にも容赦なく手を下し続けた彼の最期は、意外なほど穏やかだった。ろくでなしでありながら憎み切れない愛嬌と、権力を手にしたが故の孤独とが同居していた頼朝。魅力的なキャラクター造形であったように思う。

◆そんな頼朝が築いた鎌倉幕府。成立の年号が1192(イイクニ)年から1185(イイハコ)年に変わったのは有名な話だ。1192年、頼朝は征夷大将軍の座に就く。これをもって鎌倉幕府成立の年としていたが、なぜ1185年に変わったのか。

◆1185年には、頼朝は諸国の統治を行う守護、税を取り立てる地頭の設置を後白河法皇に認めさせている。武家政権が成立したのがこの年であることから、イイハコつくろう鎌倉幕府、となったそうだ。

◆ドラマでは、教科書で学んだ様々な合戦や幕府成立の流れを、時にコミカルに、時に残酷に描いてきた。頼朝亡き後、幕府という名の逃げ場のない箱の中で、さらに激化する権力闘争がどのように描かれるのか。楽しみなような、怖いような。(S)

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